9.終止法

 文字通り「曲の最後」の終わり方を載せておきます。これもいくつかに分けて見てみましょう。曲の最後、というと時々ものすごいモーションをする指揮者がいますがここではあくまで基本的なものだけ紹介します。

①叩き止め

 これは叩いた打点で終わるものです。反動なし。ストン、というような感じです。加速して速度最大のときに一挙に速度0になるので、腹筋とひざを中心とした体全体でその衝撃を受け止めるようにしてください。終わったときの姿勢が基本姿勢になっていることにも留意してください。

②反動叩き止め

 叩き止めが硬い表情なのに対して、こちらはやわらかい表現になります。たたいた後の余韻を感じましょう。停止する位置が叩いた打点の10センチ上くらいの感覚でやると良いと思います。打点と止まる位置の距離が長いほど表現としてはやわらかくなります。反動の動作中は腕の力を抜いてふわっと浮かす感じにしてください。叩いた後に力が入ったままだと、この動作の意図する「余韻」が出ません

③置き止め

 文字通りそのまま終わるものです。終わりの点に向かって加速せず、そのまま、あるいは減速して終わります。平均運動からつながる終わり方の際に用います。

④反動置き止め

 しゃくい、または平均運動の点後を極めて小さく上げて直ちに止めます。

⑤その他

 終止法によって最後の点を出し終わった後、音がフェルマーターなどで伸びていることが良くあります。その際は左手を開いて握れば切りを合図できます。伸びている間の指示は左手を使ってください。手のひらを上に向ければ「響きを保って」とうニュアンスになります。逆に下に向けて手全体を下にゆっくりと下げればディミヌエンドを表すことができます。伸ばしの音の後ですぐ次のテンポに入るような場面も楽曲の中には出てくると思いますが、そのような時は、左手で音を切ると同時に右手を振り上げると(この際の振り上げは必ず次のテンポで振り上げること)、音の切りと次の入りを同時に、そしてスマートに指示できます。右手の振り上げは大きくなく、棒だけでも指示できます。むしろその方が、伸びている音に不用意なクレシェンドを引き起こすことがないし、何よりシンプルに見えます。

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