教室のご案内

教室の概要

村方指揮法教室 レッスン室

村方指揮法教室 レッスン室

村方指揮法教室 レッスン風景

村方指揮法教室 レッスン風景

 村方指揮法教室は指揮者、故村方千之(1925-2014)が主宰し、現在もその遺志を継いで開かれている指揮法の教室です。その最大の特徴は、多数の指揮者を育成した齋藤秀雄(1902-1974)が創り上げた指揮法メソッド、いわゆる「齋藤メソッド」の本質を大切にした「誰が見ても明解かつ深く音楽的な指揮法」の習得を目指すところにあります。村方千之は、齋藤秀雄が指揮法のレッスンを開始した最初の門下生3名のうちの1名で、まさに「齋藤メソッド」が現在でも音楽大学等での指揮法の授業で教科書として使われている「指揮法教程」が完成していく過程に関わっていた人物です。しかしこの「指揮法教程」の初版から70年近くが経過しようとしている現在、残念ながら本来齋藤氏が意図した指揮法から離れてしまった指導がなされていることも少なくありません。

 齋藤秀雄の考えた「指揮法」とは、ある意味ミステリアスな指揮者のカリスマ的な魔力から離れ、純粋に演奏者にわかりやすく、ストレスなく音楽を進めるための「指揮の運動面での技術」を研究したい、という思いから出発したものでした。他の楽器に音階練習などの「基礎」の鍛錬があるように、指揮にもやはり基礎とすべきものがあり、それを取得したうえで、楽譜を汲み取る音楽性、多数の演奏者に共感を生み一つの方向へとまとめていくリーダーシップへと進んでいくべきだと考えていたのです。たとえば書道で言えば、楷書をきちんと身につけなければ草書は書けないのと同じで、草書を最初から書こうとしても、「草書っぽいもの」しか書けるようにならないのです。

 しかしながら「普遍性を持った指揮」「指揮の基礎的な技法」を感じさせるバトンテクニックをもった指揮者に今ではなかなかお目にかかりません。派手な身振りは一見格好の良いものですが、演奏者が音楽の流れと齟齬(そご)をきたしたり、流れを阻害したりするような指揮に陥ることもあります。村方指揮法教室の開設当時と比べて、格段に「指揮法教室」や「指揮講習会」の情報が手に入るようになり、動画サイトでも「指揮法」に関するビデオレクチャーを簡単に視聴することができます。しかし齋藤秀雄が心血を注いだ「指揮の基礎基本」については細かく語られることがありません。それは「そこまで細かく基礎基本を説明できる人が少ない」ということを示しています。

 齋藤秀雄指揮法の継承者である村方千之は、指揮者としてプロを目指す若者だけでなく、アマチュアの愛好家、音大生、あるいはたまたま吹奏楽部の顧問になってしまった教員などにも、分け隔てなく教えてきました。これは「初心者向けの指揮」や「プロの指揮者の技」といったものは存在しない、という考えからです。村方指揮法教室の門を叩く方の中には「いろいろなところで指揮を習ってきたが、ここほど基本について細かく教えてもらえるところはなかった」という人や、「見学だけと思ってきたが、レッスンを見て“今までとは全然違う”と思って入った」という人がいます。どんな生徒さんにも同じように指揮の本質、すなわち「音楽は深く、指揮は明快に!」のモットーに基づいた指揮の技法を教え「なぜそのように振らなければならないか」という根拠を示すことができるだけの豊かな音楽性を持った指導者は稀有な存在でしょう。村方千之は世を去りましたが、今でも当時の門下生が集まり、師の思いを継いで指揮法の研究を続けています。村方指揮法教室に通う者は「指揮法」を通して「音楽」を学ぶことになるでしょう。

村方指揮法教室元門下生
西野裕之


レッスンの概要

ムラマツバトン K17(390mm, 7g)

ムラマツバトン K17(390mm, 7g)

講師とのマンツーマンの完全個人レッスンです。楽団を模擬したピアノ独奏・連弾を相手に指揮をします。ピアニストも指導者の一員ですから、ピアニストを連れてくる必要はありません。レッスンはすべてビデオに録画されます。
初級、中級、上級と段階的に学んでいきます。初級では斎藤秀雄著の「指揮法教程」(旧版)に沿って、基礎的な指揮の技法を身に付け、その応用を学びます。個人差もありますが平均約10ヶ月ほどで初級が終わり、中級ではブルグミュラーの練習曲、シューマン「子供の情景」、ベートーヴェン「悲愴」、「テンペスト」、「熱情」などのソナタと続きます。上級ではベートーヴェンの交響曲をはじめ「春の祭典」や「惑星」といった序曲、組曲などの管弦楽曲にも挑戦します。
楽曲にもよりますが中級からは基本的に2台のピアノによる連弾を相手に指揮をすることになります。希望すれば〝千の会〟で実際にプロのオーケストラを指揮する機会が与えられる可能性もあります。


門下生の層

指揮法教程(旧版) 斎藤秀雄著 音楽之友社

指揮法教程(旧版) 斎藤秀雄著 音楽之友社

プロの指揮者を志す人、既にプロである指揮者、指揮をする必要に迫られた作曲家や音楽教師、趣味で指揮棒を振りたい人、既にアマチュアの楽団で指揮棒を振っている人など、地位・身分・職業を問わず実にさまざまです。年代も高校生から定年退職した年配者までいます。指揮の対象は吹奏楽、管弦楽、合唱など指揮を必要とする楽団のすべてです。