6.間接運動②・平均運動

 平均運動は「平均」的な動き。つまり棒も水平に持ち、動きもはっきりとした加速減速を持たない穏やかな表現です。平均運動において重要なことは、この「穏やかさ」を常に失わないことです。どうしても最初はいびつになりがちですので、自分がどこで速度が速くなりすぎたり逆に止まってしまったりしているかをよくチェックすることが重要です。

 棒の持ち方は「スナッピング」するときの持ち方。つまり「叩き」において腕を上に挙げたときの持ち方を左へ90度寝かせた持ち方です。親指の上に棒が乗っている感じを忘れないでください。他の四本の指は軽く添えます(この持ち方は弦楽器の弓の持ち方と共通するところがあるように思われます)。

 基本の構え(2拍子)は手を「招き猫」のようにした状態です。力を抜き肩を落とします。脇は自然に。あまり開きすぎないようにします。この位置から左前方へ水平に手を伸ばしていきます。叩きのときと同じく、腕の伸縮運動という意識を持つと楽にできると思います。左に行ったときの位置ですが、身体からできるだけ離した位置に来るようにします。これも「斜に構えている」がゆえに、左に来たとき、身体に近い位置に持ってくると、自分の右側にいる奏者から見え辛くなるのを避けるためです。

 では動かしてみます。左から右へ行くのが1拍目、右から左へが2拍目です。予備拍をとるため、右肩の位置から始動します。平均運動はできるだけ滑らかにすることが重要です。そして奏者に音を出させたいポイントを、常に自分の目の前に置きます。決して右から左、左から右への動き始めで音を出させるのではない、と言うことを理解してください。腕が自分の身体の中心、描いている軌道の真ん中で拍を感じることです。そしてこれができるようになったら、次は右左の折り返しで変に運動を停止して待たないようにに気をつけてみてください。ゆったりと揺れる振り子をイメージしましょう。振り子を観察していれば分かりますが、本当に速度がゼロになるのは一瞬のことですから、故意に動きを止めてしまうと不自然な印象になります(このことは「叩き」の上方位置、あるいは「しゃくい」でも同様の指揮の基本です)。

 さらに自然に見せるこつは腕だけでなく身体を使うことです。背骨を軸として骨盤の上にのっかった上体を腕の動きにつれて滑らかに回転させる(ラジオ体操にもある動きですが)と固さが取れます。特に左から右への折り返しのときには、体が腕よりも一瞬速く右へと回転し始めるようにすると滑らかになります(弦楽器を経験している方ならフィンガーボウイングと同じことを身体でやれば良いのだと気付くでしょう)。身体を右回転して右手を巻き取ってくるようなイメージでやるとうまく行くと思います。

 2拍子ができたら3拍子、4拍子へと発展させます。3拍子は富士山のような図形を2拍子のときと同じ持ち方、身体の使い方でたどります。図形は厳密に言うと、富士山の裾野の部分左側をちょっと長め、右を少し短めにして左右のバランスを補正します。右に来たときの位置は2拍子のときのような「招き猫」のポーズより右に多少ゆとりを持って構いません。逆にそうしないと窮屈にみえますからね。4拍子では3拍子の富士山の真ん中に縦線を入れて1拍目とします。

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